あらすじ
冴えない大学生・長谷川誠は、遅刻に失敗し、報われない片思いまで抱えた、どうにもならない日々を生きている。そんな最悪の一日の終わり、迷い込んだ路地の先で、彼は奇妙な古書店「幻書堂」と一冊の白い本に出会う。そこに記されていたのは、誠が生まれた瞬間から現在に至るまでの人生そのものだった。しかもその本は、過去だけでなく、まだ訪れていない出来事までも静かに書き連ねていく。
半信半疑のまま未来をのぞいた誠は、憧れの先輩・理沙との距離が縮まる出来事を知り、少しずつその本に溺れていく。先回りすれば失敗しない。傷つかずに済む。望んだ未来に近づける――はずだった。だが、用意された“幸運”に酔うほどに、自分の感情も、他人との関係も、どこか本物から遠ざかっていく。
そんなある日、誠は本の中に、親友・涼介に訪れる残酷な未来を見つけてしまう。恋も友情も、自分の人生さえも、その一冊に書かれた通りにしか進まないのか。知ってしまった未来は変えられるのか。見届けるだけの存在になるのか。それとも――。
運命を読む男が最後に試されるのは、未来を知る力ではなく、自分の意志そのものだ。