あらすじ
死者の“残響”だけが漂う沈黙の森。
ノクテラは影の声に従い、ただそれらを沈め続ける影の少女だった。
ある日、森に迷い込んだ生者──彼方。
その名を呼んだ瞬間、ノクテラの世界はひび割れた。
森は生者を許さない。
彼方は霧のようにほどけ、意識のない残響となって森に縛られる。
影の声は囁く。
「沈めろ。
それはもう“彼方”ではない」
だがノクテラは逆らう。
残響は暴走し、ノクテラをも切り裂く。
守れば失う。
失えば守れる。
その矛盾だけが、彼女を生かしていた。
森が崩れ落ちる最終夜、
ノクテラは初めて涙を流し、
震える声で彼の名を呼ぶ。
「……彼方……」
その涙が、すべての終わりだった。