あらすじ

キム・ジウン、七段。AIの言語を人間の碁盤に翻訳することを、碁と呼んでいた女。  ハン・テオ、四段。  二人は対局で出会う。ジウンにはテオの手が読めなかった。意図が読めないのではなく、意図が存在している場所が、自分の知っている碁盤の上にないのだ。  週に一度の練習対局が始まる。テオは毎回、定刻の十分前に来て、靴を脱ぎ、まっすぐ碁盤に向かった。二人はほとんど話さなかった。しかし盤面では、言葉にならないものが行き来していた。  ある夜、テオが言った。 「私には、碁盤が平らに見えたことがないんです」。  ジウンはその言葉を受け取った瞬間に、テオが何十年も、誰とも共有できない世界に住んでいることを知った。  理解したかった。しかし理解は、届かなかった。  理解を手放したとき、初めて見えてきたものがある。  ソウルから東京、パリへ。  碁盤を挟んだ二人の、長くて静かな愛の記録。

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カクヨム
カクヨム2026/04/15
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