あらすじ
夫に名前すら呼ばれず、冷たく扱われ続けた私は、ある朝、ついに限界を迎えた。
決定打は、夫が見知らぬ女性を連れて帰ってきたことだった。
――もういい。こんな場所に、私の居場所はない。
離縁状を残し、屋敷を飛び出す。
これからは自由に、幸せに生きるのだと信じて。
旅先で出会う優しい人々。
初めて名前を呼ばれ、笑い、温かい食事を囲む日々。
私は少しずつ、“普通の幸せ”を知っていく。
けれど、そのたびに――背中の痣は、静かに増えていた。
やがて知る、自らの家系にかけられた呪い。
それは「幸せを感じるほど、命を削る」という残酷なものだった。
一方その頃、私を追って旅に出た夫は、焦燥の中で彼女を探し続けていた。
あの冷たさも、あの女性も、すべては――。
けれど、すべてを知ったときには、もう遅くて。
これは、愛されていなかったと信じた私が、
最後にようやく“本当の愛”に気づくまでの物語。