あらすじ
夜影十一(よるかげ とういち)は、事故死をきっかけに異世界へ転生した。
剣と魔法のファンタジー世界。冒険者、魔物、ダンジョン――いかにも“異世界らしい”環境だ。
そして彼には一つだけ、ちょっと便利そうな固有スキルがあった。
――《死に戻り》
死ねば一定時間前に戻る。やり直し可能。いわゆるチート能力。
……のはずだった。
問題は、その発動条件が「死ぬこと」であるという一点だった。
「まず死なないといけないって、冷静に考えて欠陥品では?」
そう思いながらも、夜影十一は旅に出る。
この世界を知るため、特に深い理由もなく、とりあえず歩き始めた。
そして当然のように、死ぬ。
崖から落ちる。
スライムに溶かされる。
門に挟まる。
初見の罠にフルコンボされる。
助けようとした子犬(実は魔獣)に噛まれる。
「なんで俺、ただ歩いてるだけなのに命懸けなんだ?」
戻るたびに記憶は残る。
だから次はうまくやれるはずだった。
……はずなのに、また死ぬ。
やがて彼は気づく。
この世界、思った以上に治安が悪い。というか雑に殺意が高い。
そしてもう一つ気づく。
「俺の死に戻り、便利というより“やり直し用デバッグ機能”では?」
こうして夜影十一の旅は、世界の謎を解く壮大な冒険になる――予定だったが、実際はだいたい「どうやって死んだかの検証ログ収集」になっていく。
それでも彼は歩く。
たまに死ぬ。
よく死ぬ。
わりとすぐ死ぬ。
「……まあ、次はもうちょいマシな死に方を目指すか」