あらすじ
契約は、ちゃんと読めば分かるものだと思っていた。
営業一課のエース・神谷湊は、数字を取り続ける男だった。
迷いなく契約をまとめ、誰よりも結果を出す。その姿に、朝倉双葉は惹かれ、恋人になった。
けれどある日、双葉は気づいてしまう。
彼の「通すための言葉」が、誰かの負担の上に成り立っていることに。
追加費用は「気にしなくていい」。
解約条件は「実質問題ない」。
その一言の裏で、現場は火を消し、顧客は違和感を飲み込んでいた。
知らなければ、守れた関係だった。
でも、知ってしまった以上、もう戻れない。
恋人として止めるのか。
仕事として止めるのか。
双葉が選んだのは――“見て見ぬふりをしない”ことだった。
これは、正しさを選んだ代償と、
好きだった人を失うまでの話。