あらすじ
王国最強の武門にして、最古の名門公爵家――グランフェル家。
その一人娘、セレスティア・ヴァン・グランフェルは、絶世の美貌と圧倒的な才を持ちながら、貴族令嬢として致命的な欠陥を抱えていた。
誰にも媚びない。
誰にも靡かない。
そして、誰にも頼らない。
王族であろうと、上位貴族であろうと、彼女の前では等しく価値を問われる。
その苛烈すぎる在り方から、社交界ではこう囁かれていた。
――最凶にして最悪。
――あれは令嬢の姿をした災厄だ、と。
だが、彼女が切り捨てるのはいつも腐った権威であり、
彼女が踏み潰すのはいつも驕りと欺瞞であり、
彼女が守るのはいつも誇りと筋の通った矜持だった。
王立アルディオン学園への入学初日。
平民特待生への理不尽を前にしたセレスティアは、第一王子すら前にして一歩も引かず、静かに言い放つ。
「礼は尽くします。媚びはいたしません」
その日を境に、学園の均衡は崩れ始める。
完璧な微笑みで空気を支配する侯爵令嬢。
秩序を重んじる第一王子。
それぞれの思惑が交錯する中、誰にも従わぬ公爵令嬢が、王国の歪みを一つずつ暴き、踏み砕いていく。
これは、権力に媚びず、誰にも靡かず、ただ己の美学だけで世界を震わせる、最凶公爵令嬢の物語。