あらすじ
俺は日々をやり過ごすだけの、ごく普通のしがないサラリーマンでした。唯一の楽しみといえば、金曜の夜に自分の部屋へ帰り、刺激的な辛さのタイ料理を作って冷えたビールと一緒に味わうことくらい。ですが、誰が想像できたでしょうか。牛肉をホロホロになるまで煮込んでいる最中、コンロの前でうっかり寝落ちしてしまい、次に目を開けたら……どこかも分からない森のど真ん中で大の字に倒れていたなんて。おまけに目の前には、スライムがぽよんぽよんと跳ね回っているじゃないですか!
世界を滅ぼすような絶大な魔法の力も、山を真っ二つに切り裂く聖剣も、俺にはありません。俺はただ、偶然にも【料理】スキルを少しばかり授かっただけの普通の男です。まあいいでしょう。元の世界に帰れないのなら、ここでスローライフを送ってやります。魔物を捕まえて激辛スープ(トムセップ)を作り、見知らぬ奇妙な薬草をすり潰して特製のエビ味噌ディップ(ナムプリックカピ)を作ってやりましょう。小さな食堂を開いて、エルフや獣人、そして冒険者たちに、命乞いしたくなるほどのタイ料理の強烈な辛さを味わわせてやるんです!
これは、香ばしい煙の匂いとフライパンを叩く小気味よい音、そして食卓から始まる友情に彩られた、俺の気ままな異世界ライフの物語です。