あらすじ
喫茶店×日常ミステリ×再生×百合恋愛で贈る、静かであたたかい探偵物語。
あらすじ
心と体を壊し、看護師の仕事を離れたNは、療養生活の中で渓流のそばにある喫茶店「キャロット」で働き始める。
そこは、コーヒーの香りと川音が流れる、少しだけ時間の遅い場所。
――そして、幼なじみで恋人になったビーが、いつも隣にいる場所だった。
新しい日常に戸惑いながらも、一歩ずつ前へ進もうとするN。
だがある日、店に持ち込まれた一枚の絵画の謎を解き明かしたことをきっかけに、事態は思わぬ方向へ転がる。
「キャロット探偵社・謎解き承ります」
半ば冗談で掲げられたその看板に、本当に依頼が舞い込むようになったのだ。
亡き夫が遺した“青い花”の暗号。
壊され続ける石膏像と、その内部に隠された犯罪の証拠。
静かな喫茶店に集まるのは、人生や想いが絡み合った“小さくて重い謎”ばかり。
派手な名探偵ではない。
けれどNは、相手の言葉に耳を傾け、違和感を拾い、ひとつずつ丁寧に真実へ近づいていく。
そしてその隣には、変わらず手を取り、支え、時に甘く寄り添うビーの存在がある。
これは、傷ついた元看護師が、喫茶店で謎を解きながら少しずつ自分を取り戻していく物語。
――そして、幼なじみだったふたりが“恋人”として歩き出す、やさしくて熱を帯びた百合の記録。
登場人物
■N(私)
元看護師。心身を壊し療養中だったが、喫茶キャロットで働き始める。
冷静で観察力に優れ、物事の“違和感”を見逃さない。
本人に探偵の自覚はないが、持ち込まれた謎を自然と解いてしまう。
不器用で、自分を後回しにしがちな性格。
けれどビーと再び向き合ったことで、少しずつ「自分の幸せ」を受け取るようになっていく。
■ビー(Bea)
Nの幼なじみであり、現在は恋人。日英ハーフの研究者。
やわらかく穏やかな雰囲気を持ちながら、
Nに対しては驚くほど素直で、まっすぐで、時に大胆。
幼い頃からNを想い続けており、再会を経てその関係は“幼なじみ”から“恋人”へ。
支えるだけでなく、
甘やかし、触れ、言葉にし、愛情を惜しみなく伝える。
Nにとって「帰る場所」そのものの存在。
■Nとビーの関係(強調ポイント)
幼い頃から続く、切れなかった縁。
別々の人生を歩みながらも、互いを忘れられなかったふたり。
再会の春、
その関係は“ただの幼なじみ”ではいられないことを認め合う。
静かな日常の中で手を取り、
時に不安を分け合い、
時に甘く深く触れ合いながら、
「恋人として生きていくこと」を選んだふたりの百合関係。
■サヤカ
喫茶キャロットの店主。Nの年上の知人。
やわらかく包み込むような優しさを持つ女性。
人の痛みを理解し、押しつけずに支えることができる。
■エドワード(エド)
サヤカの夫。英国出身の穏やかな紳士。
紅茶愛が強すぎる。
ノリと勢いでキャロット探偵社を復活させた張本人。
■タクト
Nの従兄弟。元自衛隊の異色の経歴を持つ。
軽口ばかり叩くが、人を見る目と判断力は鋭い。
Nとビーの関係をからかいつつ、実はかなり気にかけている。
■スチュアート教授
ビーの父。英国紳士。
Nを「娘のナイト」と呼び、全面的に信頼している。
上品な見た目に反して、かなり愉快な性格。