あらすじ

一人暮らしのわたしは年をとり、あとは死ぬのを待つばかりだ。妻には先立たれ、子供たちは来なくなり、友人たちは一人また一人と離れていった。そんなある日1階のリビングに一人の男がいるのを目にする。「おまえは誰だ」と問うと、その男は「おまえはあんただ」と言った。わたしはひさしぶりの会話に心が弾むのを感じ、こういう人生を生きてしまうことになった日々を回想した。 母とのことや仕事で知り合った松永さんのこと、また子供たち、特に翔太との関係が大きく影を落としていた。わたしは人との関係が作れずにいたのだ。その後妻のすすめに従って心療内科へ通院するようになり、長い歳月をかけて多少とも日々は好転した。 自分の人生をあらためて受け入れたわたしはある日の朝、あの男がリビングで倒れているのを発見する。その男はよく見るとわたし自身であった。「おまえはあんた」だったのだ。 するとわたしの身体がすうっと浮き上がり、上へと昇っていった。そこには新しい世界が待っているのを目にしたのだった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/04/15
  • 現在の作品訪問者