あらすじ

眠れない夜が、怖かった。 静かなはずなのに、頭の中だけがうるさい。 逃げ場のない時間の中で、ただ朝を待つことしかできなかった。 そんなある夜、私はふと気づく。 この感覚に「名前」をつければ、少しだけ楽になるのではないかと。 ——「空っぽの夜」 ——「息が浅い夜」 ——「閉じ込める夜」 言葉を与えるたびに、曖昧だった夜は形を持ち、 やがて“扱えるもの”へと変わっていく。 だがそれは、救いではなかった。 夜に名前をつけるたびに、現実は少しずつ歪み、 やがて昼にも侵食し始める。 感情よりも言葉が優先され、 本来の自分の感覚は、ゆっくりと消えていく。 気づいたときには—— 自分の名前すら、思い出せなくなっていた。 それでも、夜は来る。 眠れないまま。 名前をつけることもなくなったその先で、 ただひとつ確かなのは、 ——この夜だけが、ここにあるということ。 眠れない夜に、名前をつける。 それは、本当に“自分を救う行為”だったのか。 静かな崩壊を描く、共感型心理ホラー。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/04/14
  • 現在の作品眠れない夜に、名前をつけて