あらすじ

任務を終え、影に溶けるはずだった忍びは突如として異世界へと転移する。 だがその瞬間、彼は気付く。この世界では認識されなければ存在できない――という異常な法則に。 誰にも見られないままでは輪郭は崩れ、やがて完全に消滅する。忍びとして「存在してはならない」ことを叩き込まれてきた彼にとってそれは致命的な矛盾だった。 生きるため、彼は選ぶ。 ――目立ちながら、存在を隠すことを。 舞台は、観客の視線が力となる国家公認の闘技場《コロシアム》。 戦士たちは注目を集めることで存在を強化し、名声を得る。だが忍びである彼は分身と認識操作によって観客の視線を撹乱し「確かに見られているのに誰にも認識されない」という矛盾した戦い方で勝利を重ねていく。 やがて彼は、盲目の王と出会う。 王だけは視覚に頼らず、声と気配で彼の存在を捉えた。初めて「いる」と認められた忍びは、王より“黒羽”という名を与えられる。 王の代わりに戦う“認識される存在”として、黒羽はコロシアムに立つ。 だがその果てに彼が選ぶのは己の存在を完全に消し去り、王を“英雄として世界に認識させる”ことだった。 「俺を認識するな。……消える。――でも、忘れるな」 誰にも知られず、記録にも残らない戦いの果て。 ただ一人、王の記憶の中にだけ“黒羽”は確かに存在していた。

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カクヨム
カクヨム2026/04/14
  • 現在の作品目立たないと消える世界で、忍者は最も派手に隠れる