あらすじ
佐伯直人は、目立たないごく普通の高校二年生だ。
誰かに強く求められたこともなく、ただ“手のかからない子”として静かに生きてきた。
ある雨の日、直人は旧校舎の階段で、クラスの完璧美少女・榊原澪がひとりで壊れかけている姿を見つける。
成績優秀、容姿端麗、誰にでも優しくて、まるで隙のない彼女。
そんな榊原が見せた、誰にも知られたくないはずの弱さを、直人だけが知ってしまった。
「先生は呼ばない。言いたくないなら、言わなくていい」
ただそれだけのはずだった。
見つけたから放っておけなかった。
それだけのはずなのに、翌日から榊原は、直人にだけ少しずつ距離を詰め始める。
朝の挨拶。
さりげない気遣い。
誰よりも早く気づく視線。
そして、直人が困る前に先回りして整えられていく日常。
彼女は優しい。綺麗だ。完璧だ。
けれど、直人に向けられるそれだけは、どこか普通ではなかった。
誰かに必要とされたい少年と、誰かを必要にせずにはいられない少女。
これは、壊れたくない完璧美少女が、僕にだけ本当の顔を見せるまでの物語。