あらすじ
目覚めると、そこは嵐の中で沈みゆく奴隷船の中だった。
名前も、過去も、なぜ自分が縛られているのかも、一切の記憶がない。
しかし、襲いかかってくる大男の船長を前にした瞬間――身体だけが「最強の剣技」を覚えていた。
海に放り出され、なんとか砂浜に打ち上げられた名無しの男。
彼の隣には、同じく船から生き延びた一人の少女がいた。
美しい銀髪と獣耳を持つ狼人の少女「アリス」。
奴隷として売られ、人間を心の底から憎み、警戒する彼女は、生き延びるために自分の美しい髪を躊躇いもなく切り捨てるほどにドライで、冷酷な世界を生き抜く術を熟知していた。
「私の邪魔をしないこと。そして――私に触れないこと」
記憶のない素性不明の男と、人間不信の狼人少女。
互いの利益のためだけに結ばれた、脆く奇妙な同盟関係。
二人は港町で(管理人からこっそり服と金を拝借しつつ)装備を整え、旅に出る。
しかし、男はまだ気づいていなかった。
自分では「記憶を失ったただの一般人」だと思っていたが……。
凄腕の傭兵を視線だけで威圧し、命を狙ってきた山賊の頭目が、男の「顔」を見ただけで絶望し、悲鳴を上げて逃げ出す始末。
――俺の過去には、誰かを震え上がらせるほどの「何か」が眠っている。
――俺は一体、何者なんだ?
これは、過去を失った男が「アンノ(Unknown)」と名乗り、銀狼の少女と共に容赦のない世界を歩んでいく物語。
失われた記憶の底に眠る「名無しの王」が覚醒する時、世界の運命が動き出す――。