あらすじ

高校二年の冬、湊は奇妙な能力に気づく。強い後悔を抱えた人に触れたときだけ、その人の「後悔の一日」をやり直せるのだ。事故で親友を失ったクラスメイト、喧嘩別れのまま祖父を亡くした少女、告白できずに転校した少年。湊は彼らの時間に寄り添い、選び直す勇気を渡していく。やり直された一日は、当人の記憶にだけ淡く残り、現実は静かに書き換わる。 だが、湊には決して触れられない一日があった。雪の降る帰り道、目を離した隙に起きた事件。最愛の妹・陽菜を救えなかったという後悔である。どれだけ他人を救っても、自分の過去だけはやり直せない。能力の理不尽さに苦しむ湊に、最初に助けた少女・咲良が気づく。彼女は湊の変化を追い、やがてその秘密に辿り着こうとする。 「これは後悔を消す力じゃない。後悔と向き合うための力なんだよ」 咲良の言葉に背を押され、湊は封じてきた記憶と対峙する。繰り返し他人の後悔に触れてきたからこそ、見えてきた違和感。あの日の情景に、欠けているはずのない音と温もり。真相は、湊が守るために歪めてしまった記憶の奥にあった。 やがて辿り着いた答えは、残酷で、そして優しい。能力の本当の意味は、過去を書き換えることではなく、忘れてしまった「真実」を取り戻すこと。湊が最後に向き合うのは、妹を失ったという後悔そのものだった。 これは、やり直せない一日を抱えた少年が、誰かの後悔を救いながら、自分の心を救い直していく物語。涙の先で、タイトルの意味が静かに反転する。

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カクヨム
カクヨム2026/04/14
  • 現在の作品あの日の後悔を、明日ごと巻き戻せるなら