あらすじ
祖母・ハルに山のサバイバル術を叩き込まれた中学二年生、鈴木蓮。火起こしも方位読みも熊の対処法も完璧だが、「友達の作り方」だけはデータベースに入っていない。相棒は、何を聞いても「丁寧に対応してまいりたいと思います」としか返さない謎のAI搭載ノートPC——通称・岸田さん。
山より複雑で山よりたちの悪い「人間」という生き物が集まる北関東の普通の中学校で、蓮は今日も観察し、判断し、動く。
第一の謎は、給食のかぼちゃプリンが消えた事件。犯人はすぐ見つかったが、本当の謎はその動機にあった。
第二の謎は、体育館で発見された用務員・村田さんの死体。外傷なし、争った形跡なし、しかし手にはガムテープの芯が握られていた。担任の三浦先生との不審な会話、窓枠に隠された百万円超の金銭記録——事件の糸を手繰り寄せる蓮を待っていたのは、予想外の結末だった。
第三の謎は、修学旅行先の京都で語り継がれる幽霊の噂。毎年一人が夜中に消え、翌朝「覚えていない」と言う。深夜の駐車場で謎の取引をする担任の大野先生、そして初めて隣で動いてくれた相棒・水口佳奈。幽霊の正体は、あまりにも拍子抜けなものだった。
三つの謎を解くたびに蓮のノートに書き加えられる一言——「本当の謎は、人の心だった」。
山では一人で生き残れる。でも街では、そうはいかないかもしれない。