あらすじ
人間の少年ヒューゴは、魔族の村で拾われ、
魔族の少女リュミナと兄妹のように育てられた。
だが、戦争が激しくなるにつれ、
「人間を匿う村」として魔族たちは追い詰められていく。
十五歳の誕生日。
ヒューゴは“村を守るため”という名目で追放される。
泣き叫ぶリュミナを残して。
――そのはずだった。
リュミナは村を捨て、ヒューゴを追った。
居場所を失った二人は、手を取り合い、世界を彷徨う。
人間の街は魔族の少女を拒絶し、
魔族の集落は人間の少年を拒絶した。
どこにも居場所はなかった。
飢えと寒さの中、リュミナの体は静かに弱っていく。
それでもヒューゴは彼女を背負い、
“叶わない未来”を語り続けた。
「次の街に着いたら、家を借りよう。
また笑おう。雪を見よう。
ずっと一緒に生きていこう」
返事は、もう返ってこない。
世界に拒まれた二人は、
誰にも見つからない草原で寄り添い、
静かに朝を迎える。
これは、
居場所のない少年と少女が、
最後の最後まで互いだけを抱きしめた物語。