あらすじ

還暦を迎えた景司は、ふとしたきっかけで修学旅行の記憶を思い出す。満員の列車、ざわめく桟橋、そして宇高連絡船の甲板で友と食べた瀬戸物の器のうどん。風に吹かれながら交わした「また来ようや。」という何気ない言葉は、その後果たされることはなかった。やがて連絡船は廃止され、仲間とも疎遠になる。ある日、景司はかつての航路をたどる旅に出る。静かになった港、変わった風景の中で、失われたものと変わらぬものに向き合う。再び海を渡り、見知らぬ老人との会話を通じて、風だけは昔と変わらないことに気づく。過去は戻らないが、記憶は今も自分の中に生きている。あの日の言葉は約束ではなく、かけがえのない瞬間そのものだった。景司はそれを胸に、再び日常へと歩み出す。

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エブリスタ
エブリスタ2026/04/02
  • 現在の作品消えた航路と瀬戸の記憶