あらすじ
神社の跡取りである櫻井衛と、恋人の霜村春。穏やかな日常を過ごしていた二人の間に、ある日、小さな違和感が芽生える。春が無意識に「守り手」と呼んでしまうこと。雪や節分の豆に、理由もなく胸が痛むこと。
やがて春は、自分の中にもうひとつの名前があることに気づく。――“ユキ”。それは、かつて人ではなく、春を知ると消えてしまう存在、鬼だった頃の名前だった。
満開の桜の下、衛に名前を呼ばれたことで、彼女は過去と結びつき、再び消えかける。しかし衛は、そのすべてを受け入れ、「守り手」として彼女を引き留める。
ユキでも、春でもいい。どちらも自分だと選び取ることで、彼女は消えない存在として立ち直る。
これは、自分の名前をもう一度選び直し、これからを生きていくための物語。
*続編でもあり、このひと作品だけでも完結するような作品を目指しました。
*前作『春を知らない鬼は、君の名前を覚えている』
https://estar.jp/novels/26529997
*超・妄想コンテスト 第265回「桜前線」 参加作品*