あらすじ
自分の名前が分からない。どこから来たのかも、思い出せない。
そんな“存在のあいまいな来訪者”が訪れる場所がある。
――境界帰属局 在処決定室。
そこは、現世とその先の狭間で、「帰る場所」を決めるための役所だった。
書庫係として働く山田一郎は、
ある日、一本の“混線した電話”をきっかけに、その場所へと迷い込む。
名前を持たない者。
帰る場所を思い出せない者。
そして、存在が不確かな者。
彼らに必要なのは、“記憶”ではない。
――在処を、決めること。
思い出せないなら、今ここで決めればいい。
これは、主人公が存在の行き先を記録する仕事に迷走しながら、
まだ気づいていない“もう一人の自分”を探す物語。