あらすじ

売れない日々を送っていた女性お笑い芸人・由奈美は、
大物芸人のたった一言――
「坊主にしたら、キャラ立ちするんちゃう?」
をきっかけに、人生を大きく動かす決断をする。

相方となった無名の男・サトルに素人同然で髪を切ってもらい、
由奈美は“坊主の女芸人”として舞台に立つ。
その姿は強烈な印象を残し、
コンビ「タマネギ涙」は一気に注目を集め、ブレイクへの道を駆け上がっていく。

しかし、成功の裏側で、
坊主というキャラクターに縛られていく自分に、由奈美は疲弊していく。
「坊主なんか、やめたい」
その叫びから始まるのは、
髪を伸ばし、モヒカンへと変化し、再び剃り落とす――
“変わること”と“戻ること”を繰り返す、長い葛藤の時間だった。

床屋の椅子、新聞紙の上に落ちる髪、
バリカンの音とともに削がれていく迷い。
そして最後に由奈美が選び直したのは、
逃げでも縛りでもない、「自分に一番ウソのない姿」だった。

坊主は、ゴールではない。
原点であり、通過点であり、前に進むための形。

これは、
髪を剃ることで自分を失い、
何度も剃り直すことで自分を取り戻していく、
一人の女性芸人と一組のコンビの再生の物語。

笑いの裏側で揺れる心と、
舞台に立ち続ける覚悟を描いた、
静かで熱いキャラ文芸長編。

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アルファポリス
アルファポリス2026/04/13
  • 現在の作品『タマネギ涙 ― 坊主は、原点だった ―