あらすじ

かつて、世界は救われた。 勇者は魔王を屠り、女神は人々に「永遠の安らぎ(不老不死)」を約束した。 ――それが、すべての終わりだった。 百年後。 世界を覆っているのは、枯れることのない膿の海と、死を忘れて腐り続ける「かつて人間だったもの」たちの呻きだ。 空には巨大な胎児の月が浮かび、地上には、神が流した汚濁(しあわせ)が満ち溢れている。 主人公は、ただ一人「眠り」を奪われた老いた騎士。 彼は、もはや誰にも届かない祈りを捧げながら、かつての戦友や、縋り付く子供たちの喉を、慈しみを持って切り裂いて歩く。 この狂った理(ことわり)の中で、唯一の「愛」とは、命を終わらせてやることだけだから。 これは、強くなるための旅ではない。 これは、何かを得るための冒険ではない。 ただ、正しく滅びるために。 美しく、残酷な因果の螺旋を、自らの手で断ち切るための巡礼である。 「――あなたは、この結末を許せますか?」

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/04/13
  • 現在の作品胎児の月が嗤う夜に