あらすじ
公爵令嬢エレノア・ヴァルディエールは、王太子レオンハルトの婚約者だった。
しかしある日、「本ばかりでつまらない」という理由と、“真実の恋”を見つけたという身勝手な宣言により、あっさりと婚約を破棄されてしまう。
これまで波風を立てぬよう、本音を飲み込み続けてきたエレノア。
だがその瞬間、彼女の中で何かが切れた。
――もう、いい子でいるのはやめよう。
辺境伯へと嫁がされた彼女は、屋敷の片隅で一冊の奇妙な本を見つける。
その名も『完璧なる悪役令嬢のための行動指針』。
「……これを参考にすれば、ちゃんと“悪役令嬢”になれるのね」
そうしてエレノアは、マニュアル通りに“悪役令嬢”として振る舞うことを決意する。
――不要な者は切り捨てよ。
――民を掌握せよ。
――敵の基盤を崩せ。
だが、根が真面目で優しい彼女の行動は、なぜかすべて領地改革へと繋がっていき――
気づけば腐敗していた辺境は立て直され、領民や部下、そして新たな婚約者である辺境伯からも厚い信頼を寄せられるようになっていた。
一方その頃。
エレノアを失った王太子と新たな婚約者は、彼女が陰で支えていたことにも気づかぬまま失政を重ね、王国は急速に腐敗していく――。
これは、“悪役令嬢”になるはずだった一人の令嬢が、
なぜか国を救い、周囲に愛されていく物語。
――本人だけが、それを悪役令嬢だと思っている。