あらすじ
竜の死骸が風化して生まれた黄金の流砂が、ヴィルニュスの街をゆっくりと侵食していた。
国家はこの砂を「排竜法」によって海へ捨て続け、その代わりに海底都市ヴァルキナイから“水”を受け取っている。
だがそれは、街の地盤そのものを削り取る危険な取引だった。
ネリス川の旧河川では、海洋族カウカスが生活のために砂ザリガニを採ろうとして、監視員と衝突する。
旧市街の宝石店では、鳥類族の店主カズィスが、砂の減少と地下から聞こえる潮騒に不吉な予感を抱いていた。
一方、管理局(VRA)の若い清掃員ミコラスは、日課の「剥離作業」の最中、石畳の下から“青く脈打つ鱗”を発見する。
それは宝石でもガラスでもなく、まるで生き物の心臓のように拍動していた。
ミコラスはそれを咄嗟に隠し、古本屋の老人スルニのもとへ逃げ込む。
スルニは何も聞かず、ただ「七つの奇妙な素材」を集めるよう依頼する。
そのリストは、竜の死骸にまつわる禁忌の材料ばかりだった。
ミコラスは親友ギエドと共に、最初の素材「未精製の琥珀」を求めて“竜の腰骨”の断崖へ向かう。
だがそこは管理局の監視下にあり、竜の体液が固まった危険な樹脂がこびりついていた。
そしてその時、空から深海色の外套を纏った使者が降り立ち、
ミコラスに向けてこう告げる。
「掃除屋の兄ちゃんに届けもんだ」
ミコラスが拾った“青い鱗”は、
排竜国家の均衡を揺るがす“何か”の目覚めだった。