あらすじ
この世界のステータス鑑定は、神さまの翻訳で成り立っている。
ただし、翻訳の精度は地域の文化水準に左右される。
私が転生したフラグ村では、3より大きい数字は全部「たくさん」。
死亡フラグは伏せ字。恋愛フラグは検閲済み。
∞(無限)のアイテムストレージを持つ兄は「8個しか入らない雑魚」扱いで勇者パーティーを追放された。
——でも、私にだけは全部読める。
前世は日本のOL。どの神の加護も受けていない私のステータス画面は、翻訳フィルタの対象外。
死亡フラグも、恋愛フラグも、隠された運命も、全部日本語で丸見えだ。
ある日、翻訳を司る神から一本の赤ペンを渡された。
「頼む。俺の翻訳を、校正してくれ」
ステータスの内容は変えられない。でも、翻訳なら直せる。
伏せ字を開示し、誤訳を正し、この世界にまだ存在しない言葉を広めていけば——人々が読める情報が変わる。情報が変われば、行動が変わる。行動が変われば、運命だって。
フラグをへし折る兄。フラグを立てまくる兄。フラグだけは立たない姉。
そして「俺、この戦いが終わったら——」が口癖の、死亡フラグ常習犯の彼氏。
私はこの愛すべきフラグ一家と、赤ペン片手に世界の誤訳を正していく。
恋愛小説というジャンルを発明し、概念を広め、翻訳神の語彙を増やし、
誰かの「名前に書かれた運命」を、一文字ずつ書き換えるために。
これは校正者の物語。
言葉が世界を変える、赤ペンファンタジー。