あらすじ
刃物も、紙も、ロープも、全てが危険視されて世界から排除された。
外界はすでに、人の住む環境ではなくなり、人々はドームに囲まれた空間で生活を営んでいた。
ネットが全てを管理する世界では、仮想現実(VR)を用いた義務教育が行われている。
授業のために集められた七人の子どもたちは、ログイン先でのアナウンスで、無人島でのサバイバルゲームを強制された。
手元に配布されたナップザック、中には食料と水、ウインドブレーカー。
さらには、十種類の物資の中から一つがランダム配布で与えられるという。
緊張感を煽るための方便なのか、それとも本当に何者かに乗っ取られた状況なのか。
生徒たちは五感のすべてを接続されたまま、現実と見分けのつかない世界に閉じ込められた。
何一つとして分からないまま、生き残ることを優先し協力体制を築く。
そんな中、上空に現れたのは希望の象徴とも言える救助ヘリ。
教員の声と共に差し出された縄ばしごに、誰もが安堵した――ただ一人を除いて。
「乗るな。どう見てもブラフなんだよ!」
違和感に気づいたのは、参加者の一人ソロウだけだった。
必死の制止も虚しく、仲間たちは救助を信じようとしていた。
ログアウトできない状況で、なぜ外部からの介入だけが可能なのか。
このログアウト不可の状況が乗っ取りによるものだとすれば、そんな都合のいい終わり方を許すはずがない。
次の瞬間、ヘリは爆発する。
ヘリに乗っていた教員は、強制ログアウトすることなく、消えることもなく目の前で無惨な姿へと変わる。
それは、誰にも否定できない現実の“死”だった。
辺りに響く無機質な音声。これはゲームではなく、誰かに支配された舞台。
救助も安全も存在しない世界で、生き残るために必要なのはただ一つ――考え続けること。
正解を選んだはずの行動が、誰かの死に繋がる。
信じても、疑っても、終わりは見えない。
これは、ただ一人“違和感”に気づいてしまった少年が、崩壊していく世界の中で選択を重ね続ける物語。