あらすじ

2100年、日本。 人の生死は、もはや人の手にはない。 すべては“盤上”で裁かれる。 それが、この国の秩序――からくり戦棋条項である。 勝者はすべてを得る。 敗者は、命さえも失う。 その記録を、ただ処理し続ける男がいた。 市役所に勤める、一人の役人。 彼は、戦わない側の人間だった。 だがある日、 対局によって恋人が“失われた”ことで、運命は反転する。 彼は戦場に立つ。 マブイを持たない、空白の身体で。 彼が使うのは、自分の力ではない。 対局で死んだ者たちの“残滓”。 勝利のたびに、それは彼の中に流れ込み、 代わりに彼自身の記憶が削り取られていく。 何を失い、何を残すのか。 やがて彼は気づく。 このゲームは、勝敗を決めるためのものではない。 人間という存在を削り取るための装置であると。 それでも彼は進む。 たとえ最後に、 自分が何者であったかすら分からなくなったとしても。 これは、 一人の人間が“人間であること”を失いながら、 世界の仕組みに抗う記録である。

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カクヨム2026/04/12
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