あらすじ
勇者、魔法使い、剣士、鍛冶師——この世界の職業は山ほどある。 だがキャリアコンサルタントは、たった一人しかいない。
ゼノ、32歳。元占い師の店舗跡に事務所を構え、看板は「運命鑑定所」のまま直す気がない。スキル【適職鑑定】で相談者の職業・スキル・転職先を丸裸にし、【適性開拓】でまだ見ぬ可能性を読み解く。相談料は年収の5%。慈善事業じゃない。
ある日、事務所のドアを蹴破って駆け込んできたのは、勇気を失った少年勇者だった。 「俺を別の職業にしてくれ!」 ——だが鑑定の結果、転職先は農夫と荷運びだけ。
訪れるのは、拳を壊した格闘家、味覚が狂ったシェフ、居場所を失ったギルド受付嬢——人生の岐路に立つ者たち。
他人の適性は見える。けれど自分がなぜこの職業に就いたのか、その答えだけがまだ出ない。毒舌の元戦友を秘書に据え、世界でたった一人のキャリアコンサルタントは今日も営業中。