あらすじ
はじめに:
(<https://kakuyomu.jp/my/news/2912051597460778855>近況ノート:イン・カメラ・オブスキュラに、口絵をつけました)
梗概:
中世の中央ヨーロッパ辺境を統べるヨーゼフ王付きの画家リナは、画家であった父ドミニクスの残した携帯式カメラ・オブスキュラを使って王の肖像画を描いていた。その道具は、外の映像を正確に中の画台に映し出すことが出来た。
リナがヨーゼフ王と話をしている間に、リナの最愛の弟、トニオがいなくなった。狂ったように弟を探すリナを不憫に思ったヨーゼフ王は、光魔術師ラカンにトニオを見つけるように厳命した。ラカンは最後に残った魔力を使い、バイエルン郊外のヴィース教会にある、涙を流す神像を尋ねよ、との言葉を残し息絶えた。
ヴィース教会を訪ねたリナは、老画家ツィマーマンに出会う。その教会の天井には、主が不在な玉座の周りで大勢の天使達が祝福しているフラスコ画が描かれていた。ツィマーマンは、教会全体が観光用カメラ・オブスキュラになっていて、それを使って描いた、とリナに教え、今日ペンテコステの真夜中に道が開ける、と告げた。
真夜中ちょうど、ステンドグラスからの強い光は神像を照らし、そこに〓〓〓(発音不可)が降臨した。〓〓〓は、トニオに天体万華鏡を貸し与え、トニオの好奇心に任せて、世界を覗かせているとリナに告げた。リナに詰寄られた〓〓〓は、自分でトニオを探すようにと、リナにも天体万華鏡を与えた。
リナはトニオを見つけた。トニオは、宣教使から借りた異国の絵本を観想した世界を観測していた。その世界では、陸を支配している、好戦的な茸大王零軍が、海を支配している、美を貴ぶ赤潮女王ジョセフィーヌ軍に戦いを挑んでいた。茸大王軍の源五郎義時と赤潮女王軍のアワビ兵十二号が鍔迫り合いをしている最中、戦いの根元が太陽の邪眼に視られていることに気づいた二人は、太陽を視返した。視返されたリナとトニオは、天体望遠鏡を離してしまう。すると絵本の世界は消滅してしまった。
トニオを取り返したリナは反撃するために、〓〓〓の姿を想像して玉座の上に具現化させ、それを攻撃する。トニオの攻撃は右手の平の眼を砕いた。その眼は白銀の世界を観測していた。
白銀の世界では、街の中心にある教会で結婚式が行われていた。住人達はめでたい日を楽しんでいた。結婚式が終わったとき、太陽からの白銀の光が途絶え、暗黒の闇が忍び込んできた。白銀の世界は、闇の中に固定化された。
〓〓〓が観測していた世界が消えたのは、リナとトニオの暴力によるものだ、と言う。リナは、自分達の世界も破壊可能なことに気が付き、恐怖する。
〓〓〓は、リナとトニオのいる黄金の世界は暴力に支配されているので、他の時空間へ持っていくことを諦めた。〓〓〓(観測者)は、スペース・カメラ・オブスキュラでの観測を止めた。黄金の光の世界は、暗箱の中に定着された。