あらすじ
かつて存在した王国、アルカディア王国は「世界を救う」ために人間の感情をエネルギーとして利用する国家だった。
当初は“希望”や“連帯”といった前向きな感情を基盤にしていたが、それらは不安定で持続しにくいという問題を抱えていた。
設計者ディーザは、より効率的なエネルギーとして「怒り」に着目する。
怒りは単独で発生し、持続し、増幅する――最も効率の良い感情だと結論づけた。
一方、観測官シルヴァは、人が「選ぶ余地」や「人間らしさ」を守ろうとする。
そして戦士ヴァルグリムは、当初は揺れながらも「現実的な力」として怒りを受け入れていく。
王もまた葛藤する。
世界を救うために人を削るのか、それとも不完全でも人の選択を残すのか。
最終的に王は「効率より責任」を選び、怒りへの完全移行を拒否する。
しかし、ディーザは独断で“感情停止装置”を起動。
世界は凍結へと向かい、制御不能の崩壊が始まる。
その過程で――
• シルヴァは人の姿を失い、「守りたい」という感情だけを残した白銀の狼へと変わる
• ヴァルグリムは怒りを完全に受け入れ、黒き獅子となる
二人は対立し、思想ごと衝突するが、止めることはできない。
王は最後に人々の逃走を許し、自らは崩壊を見届けて消滅する。
こうしてアルカディア王国は滅びる。
だが、その後も――
• ディーザ(効率と設計)
• ヴァルグリム(怒りの力)
• シルヴァ(未完成の人間性)
この三者は残り続ける。
そして物語の核心として残るのは、
「選択には必ず責任が伴う」という概念だった。