あらすじ

札幌・ススキノの外れに、小さなバーがある。 看板は目立たず、気づかない人間の方が多い。 それでも、なぜか辿り着く客がいる。 迷ったわけでもなく、 探していたわけでもなく、 ただ、気づいたら扉の前に立っている。 そんな夜がある。 店の中は静かだ。 音楽は流れていない。 氷の触れ合う音と、グラスのわずかな響きだけが、時間を刻んでいる。 ここでは、特別なことは起きない。 ただ、 忘れていた記憶が、ふと浮かび上がったり、 選ばなかったはずの人生が、形を持って現れたり、 いないはずの誰かが、隣に座っている気がしたりする。 それだけのことだ。 店主は多くを語らない。 問いかけることはあっても、答えを与えることはない。 ここは、何かを解決する場所ではない。 ただ、 気づくための場所だ。 自分が何を持っていて、 何を手放してきたのか。 そのことに、 静かに触れるための場所。

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カクヨム
カクヨム2026/04/12
  • 現在の作品静かな夜は、分かれている― ススキノの小さなバーでの記憶 ―