あらすじ
長いあいだ街角にあった
赤い看板が消えるという。
最後に入ったのがいつだったか思い出せないほどなのに、なくなると聞くと胸の奥がざわついた。
若い頃は、腹を満たすために選んでいた
ハンバーガー。
四十代を過ぎた今では
食べる頻度も気持ちも変わった。
それでも、あの看板を見ると
なぜか安心していた。
同じ場所に、同じ建物に
新しい名前の店が入る。
ただ看板が変わるだけで、街の空気は驚くほど
違って見える。
変わっていく街と、変わらないハンバーガー。
そのあいだで揺れる、大人のささやかな
感傷を描いたエッセイ。