あらすじ
「働かなくていい」――それは天国ではなく、無能な人間への死の宣告だった。
日本政府が全ての社会保障を廃止し、全国民に月額11万円を支給する「国民総BI(ベーシックインカム)法」を施行した近未来。
企業はAIと一握りの超エリートだけで運営されるようになり、生産性の低い一般人が「働く」ことは、企業の効率を落とす迷惑行為として社会から白眼視されるようになっていた。
労働適性試験に落ち続け、社会から「邪魔をするな」と月11万円の手切れ金を渡された青年・タクト。
彼は1日1500円で食いつなぐギリギリの生活の中、安価な地方の共同生活圏(BIコニー)へと流れ着き、摩耗するだけの無気力な日々を送っていた。
しかしある夜、タクトは法を犯してまで「誰かの役に立ちたい」と無給の闇バイト(労働)に熱中する異常な少女・ユイと出会う。
彼女の純粋な狂気に当てられたタクトは、ただ生かされているだけの家畜のような生活に疑問を抱き始める。
そんな中、コニーの仲間が倒れ、全てが自己責任のこの世界で「医療費300万円」という理不尽な現実が牙を剥く。仲間の命を救うため、タクトとユイはAI防衛網が敷かれた完全自動化プラントへの物理ハッキングという、高額報酬の「完全非合法労働」へと身を投じていく。
これは、全てをシステムに奪われた無能たちが、人間としての尊厳(労働)を取り戻すための反逆の物語。