あらすじ
近未来。子どもを持つことは、国家の「親資格試験」をパスした者にのみ許される特権となった。
母が権利を手に入れ、精子バンクの『ガチャ』で指定したのは「地球人・スタンダード」。
だが、そこに致命的なエラーが紛れ込む。
産み落とされたのは、愛くるしい乳児の皮を被り、宇宙の真理を解き明かすほどの高次論理プロセッサを備えた『規格外』の私だった。
「お母さん、3+2=5は真理ではなく、集団生活を維持するための通信規約(プロトコル)に過ぎません」
鼻水を垂らす同級生、非効率すぎる学校教育、そして「普通」を強いる社会という名の大気圧。
地上のカオスに翻弄されながらも、私の瞳はすでに一三八億光年の先を捉えていた。
これは、一人の「エラー品」が不自由な地球生活を攻略し、やがて人類のフロンティアを切り拓く星の海へと至るまでの、遠大なる観測記録である。