あらすじ
神や妖の血を引く人間が当たり前となった時代。
神妖の血を引く人間は国の九割以上であり、皆異能が使えて当たり前だった。しかし、国には例外もいた。一切神妖の血を引かない純粋な人間――『只人(しびと)』と呼ばれる者達。
只人は圧倒的に数が少なく、さらに異能も持たない。
表向きは差別などなく平和に共存しているのだが、密かに異能持ちの人間からは、無能と下に見られていた。
高校からは異能持ちと同じ学校に通うことになった【あやめ】。
学校では異物を見るような目を向けられ、肩身の狭い思いをしていた。それでも、あやめには救いがあった。
同じ只人で許嫁の【祥】と、同じクラスで親友の【翠】がいつも一緒にいてくれたから、同級生からつらい仕打ちを受けても平気だった。
翠は異能持ちだが、只人のあやめにも気さくに接し、親友とまで言ってくれた。お互い好きな人の話をしたり、一緒にお弁当を食べたりと、彼女がいたから学校にも通い続けられた。
皆に人気で異能も学年一位の翠は、あやめにとって大切な親友だった。
なのに――――
放課後、空き教室で祥と翠が抱き合って口づけしていた。
しかも翌日、祥は異能持ちと結婚すれば只人の自分に向けられる視線も優しくなるから、あやめとは結婚できないと言ってきて。
どこまでこの人は自分を傷つけるのか、と悲しさが溢れようとした時。
『お迎えに参りました。伊佐奈あやめ様、あなたは陽前院家次期当主様のうつわの乙女です』
迎えの手をとったことで、あやめの生活は一変していく。
国の守護家である六家のひとつ――最強格の『陽前院家』で、次期当主様に溺れるほどに愛されていく。