あらすじ
帝国が燃えていた。
庶子として家の中で息をひそめて生きてきた二十歳のエイサは、炎上する帝都と空を埋める航空戦艦を見上げながら、古い時代が崩れていくことにひそかな高揚を覚える。
けれどその直後、正しい改革者であるはずの新体制派の暴徒に傷つけられた姉が、ぼろ切れのように家へ担ぎ込まれる。さらに兄は“貴族である罪”で収監された。
雷鳴の夜、エイサに残された道は二つ。
修道院で祈りながら生きるか、家の復権のために高く売られるか。
敏腕の伯母に導かれ、大学では法と自由主義を学び、夜にはコルセットを締めて社交界へ出ることになったエイサの願いはただ二つ。
兄を救うこと。
そして、血筋ではなく言葉と法が力を持つ国をつくること。
革命と帝国の未来を祝う宴で、女たちは今夜も踊り、見られ、値をつけられる。
若い士官には涙で願いを託せた。
だが、ただひとり――新体制の功臣にして若き少佐、ウォルフガング・ヘルマン・フォン・ファーレンハイトだけは、エイサの嘘泣きを一目で見抜いた。
「嘘泣きだな」
「……失礼な人」
冷たいくせに、なぜか花を送ってくる。
見抜くくせに、昼の席を求めてくる。
国家の片腕のようなその男を、エイサは使うつもりだった。
兄のために。家のために。そして、この国の未来のために。
これは、革命のあとに残された女が、
ただ売られるだけでは終わらないための物語。
⚠︎キャラクターはファンの登場人物をお借りしてます。(彼らも戦争の残り火の中で生きていておもしろいです