あらすじ
辺境の小村グラウンで育った少年カイトは、何かを話すことが苦手で、でもよく見ていた。
北の森の縁に何かがいる。
毎朝、手を差し出す。
一拍だけ、何かが触れて、消える。
それが何かはわからない。
わからないまま、また明日もここに来る。
旅の薬師の娘リナが村に来た。
彼女は考えるより先に動く。
カイトが立っていた場所に、ためらわずに踏み込んでくる。
世界は、二人が気づかないうちに動いていた。
古い森が、村の空気が、少しずつ変わっていく。
それが何を意味するか、まだ誰も知らない。
幻獣の声が聞こえる。
それだけで、カイトの世界は——広かった。
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【登場人物】
カイト(13歳):
ヴァルト辺境領の次男。観察眼が鋭く、言葉が少ない。北の森に引き寄せられている。
リナ(12〜13歳):
流れの薬師の娘。動いてから考える。誰よりも早く「変だ」と感じる。
ルーク(14歳):
村の猟師の息子。裏がない。
ダルク:
村一番の猟師。言葉より行動が全部を語る。