あらすじ
前世で葬儀式典ディレクターとして働いていた私は、気づけば異世界の伯爵令嬢エルナに転生していた。
チートも魔法の才能もない。ただひとつあるのは、「終わりが近いものが見える」という奇妙な感覚だけ。
婚約者の心が離れていることも、友人の縁談が破綻することも、誰かが職を辞めることも――終わりを迎える前に、なぜかわかってしまう。
婚約破棄の夜、私は涙ひとつ見せず言った。
「やっぱり今日でしたか。三ヶ月前から、そんな気はしていました」
以来、社交界では「縁起が悪い令嬢」と遠巻きにされるようになったけれど、なぜか騎士団長のクロヴィス様だけが、まっすぐ私を見てくる。
「なぜお前には、それがわかる」
「さあ。なんとなく、です」
不思議なことに、この人の「終わり」だけが、私にはまったく見えなかった。