あらすじ
領地経営を丸投げし、愛人にうつつを抜かす次期侯爵のルシアン。彼を支え続けてきた婚約者のアニエスは、領地が飢饉による崩壊の危機にあることを知らせるため、必死に計算した「財政逼迫のデータと警告」を記した手紙を送る。
しかし、ルシアンはそこに書かれた数字の羅列と「このままでは枯れ果ててしまう」という切実な悲鳴を、『愛に飢えた女の重いポエム』だと勘違いし、嘲笑いながら暖炉で燃やしてしまった。
「……わかりましたわ。あなたに救いを差し出す義務は、果たしました」
呆れ果てたアニエスは即座に婚約を破棄し、以前から彼女の才能を高く評価していた隣国の公爵のもとへ嫁ぐことを決める。
一方、アニエスという防波堤を失ったルシアンを待っていたのは、商人たちからの無慈悲な取り立てと絶対的な破滅だった。
すべてを失い、雪の中に放り出された元婚約者の前に、公爵夫人となったアニエスが現れるが──。