あらすじ
人生に行き詰まっていた三十二歳のエンジニア黒瀬亮は、長野の山奥で墜落した謎の球体を拾う。
何気なく通電したその球体には、地球外文明が残したAI〈エイル〉が眠っていた。
エイルは未来の技術を知っていた。
ただし、その知識は無制限には与えられない。亮が一つの技術を実装するたび、次の段階が解放される仕組みになっていたのだ。
常温超伝導、新素材、核融合、反重力、宇宙航行。
無名のエンジニアだった亮は、誰にも理解されなかった才能と異星の知識を武器に、世界そのものを塗り替えていく。やがて彼の技術は国家、巨大企業、軍事組織の思惑を動かし、人類を地球の外へ押し出すほどの力になっていく。
だが、進歩には代償があった。
技術が先へ進むほど、亮は普通の人生から遠ざかり、仲間との関係は軋み、守りたかったものさえ失っていく。それでも彼は止まれない。正しい技術が世界を変えると、誰より強く信じてしまったから。
これは、ひとりの孤独なエンジニアが地球外AIと出会い、十五年をかけて人類を宇宙へ送り出すまでの物語。
その旅路は、栄光の記録であると同時に、多くを失った者たちの記録でもある。