あらすじ

峰央をはじめて見かけたのは、まだ冬の寒さが残る夕方、だった。場所は、神社の境内。いつも人っ子一人いないその場所は、職場から家への近道で、私は毎日通っていたのだけれど、はじめてその時間に人影を見た。  峰央は、短い参道の傍らにある、コカ・コーラの色あせた赤いベンチに腰かけていた。見たところ、二十代の後半くらい。サラリーマン然としたスーツを着ていて、じっと身動きもしない。  おんなひとりで歩く私は、もちろん峰央にいささか警戒した。痴漢に注意、の看板が出ているような場所だったのだ。けれど峰央は、全く私を見ていなくて、ただじっと、虚空を見つめていた。それはそれで、なんとなく不気味というか、怖くはあったのだけれど、私は足早に峰央の前を通りすぎ、家へ帰った。

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エブリスタ
エブリスタ2026/04/05
  • 現在の作品峰央のこと