あらすじ
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、セレニア・フォン・アルヴェルは婚約を破棄された。 理由は“真実の愛”。 王太子が選んだのは、可憐で愛らしい伯爵令嬢。
――けれど、セレニアは泣き崩れなかった。
なぜなら王家は、彼女を手放せなかったから。
婚約は解消。 けれどその直後、セレニアは王太女として王政補佐を命じられる。 王太子妃候補として当然のように担ってきた仕事、整えてきた場、拾ってきた混乱。 それらは、彼女がいなくなった途端、少しずつ綻び始めていた。
若い、女だ、前例がない。 そんな声を向けられても、セレニアは怒鳴らない。騒がない。感情で押し切らない。 ただ静かに見て、考えて、整えていく。
小さな混乱を拾い、場を整え、人の心を荒らさずに前へ進めるうちに、 いつしか王宮の誰もが口にするようになる。
――あの方なら大丈夫。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。 捨てられたはずの公爵令嬢が、信頼を積み上げた先で王家の未来に選ばれていく物語。