あらすじ
【登場人物】
遥真(はるま)…芸術肌。恋に弱く、春になるとメンタルがよわよわになる。
愛乃(あいの)…将来を見据えて動く計画派。今年の“桜前線”を運ぶヒロイン。
慶一(けいいち)…控えめで謙虚。目立たない所を静かに支える。
牧(まき)…人前が苦手だが、自分の弱点を克服しようと頑張っている。
【あらすじ】
うちの町では、桜前線は天気図ではなく人が運ぶ。
南で受け取った春を、ヒロインが北へ徒歩で届ける――そんな妙な風習が今年も始まった。
受け取り役に選ばれたのは、なんでも先を読んで準備する愛乃。彼女に片思い中の遥真は、看板係として参加するが、緊張でメンタルはふらふら、靴紐はほどけっぱなし。しかも恋心は三年間ずっと秘密のまま。
一方、放送係の牧はあがり症を克服したくて奮闘中。たすき係の慶一も、控えめながら皆を支えていた。
ところが本番当日、突風で“桜前線”のたすきが吹き飛び、町は大騒ぎ。転びかけた遥真の前で、ヒロイン姿の愛乃がしゃがみこみ、靴紐を結びながら言う。
「前を向いて。春を落とさないで」
徒歩で運ばれる桜前線と一緒に、秘密の恋まで動き出す。