あらすじ
星間哨戒庁・救助局の天城セラと、封じ込め局の九条リラは、土星環輸送鎖《カッシーニ・チェーン》の部分減圧事故への共同出動で出会う。直情的に人命救助へ飛び込むセラと、通信汚染や群衆心理の暴走を冷静に断つリラは、水と油に見えながらも、互いに欠けたものを補い合うことで初任務を成功させる。しかし現場には密輸の痕跡が残されており、その背後には、救助や通信を歪める黒線網、さらに人々の呼吸や言葉を同調させて空域災害そのものを増幅する宗教集団・灰唱会の影が広がっていた。灯台港での訓練と実戦を通じて、二人は「白線は帰り道」という理念のもと、救うための導線を築く二名班《ルーメン・バディ》として正式に組む。やがて難民受け入れ交渉、自由港での騒乱、監察や企業の思惑が絡む政治戦まで戦場は広がり、セラは“道”で人を動かし、リラは“言葉”で混乱を断つ。やがて裂け目中心では灰唱会の“合唱”が物理現象として災害を呼ぶ危機が発生。二人は分断や沈黙ではなく、呼吸と選択肢を取り戻すために白線を束ね、宇宙と情報が一体化した災厄へ挑む。これは、対照的な少女二人が相棒となり、人命救助と情報災害封じ込めの最前線で、帰り道そのものを守ろうとするSFバディ物語である。