あらすじ
大学で「多元宇宙論(マルチバース)」を研究する主人公の陽海水凛斗(ひみず・りんと)は、かつて自身の理論が世間に誤解され、ネット上で「霊感研究者」としておもちゃにされた過去から、他者との関わりを断ち、孤独に研究を続けていた。
そんなある日、研究室の扉を蹴破るようにして現れた新入生・不和森瑞月(ふわもり・みずき)から、突拍子もない宣言を受ける。
「私を異世界に転生させなさい!」
冷やかしだと一蹴しようとする凛斗だったが、瑞月の迷いのない好奇心と、「やってみない理由にはならない」という真っ直ぐな言葉に、凍りついていた探索者としての心が動かされる。凛斗は封印していたフルダイブ型デバイスを持ち出し、彼女を仮想空間へ送るが、瑞月はそこにある「作り物の世界」を拒絶。さらに凛斗の心の奥底に眠る「世界に認められたい」という承認欲求を指摘し、彼の平穏をかき乱していく。
ぶつかり合い、互いの真実に触れた二人は、異世界転生を行うため伝承と科学が交差する「神隠し」の実験へと乗り出す。夕暮れ時の廃神社。理論とオカルトが臨界点を超えたとき、二人の前には「異世界に続くトンネル」が口を開けていた。
凸凹な二人が本気で異世界転生を目指す物語。