あらすじ
人を間引くための機構《レジデュア処理》と、それを《赤文字》として視認できる少年・青葉晴翔。同じ能力を持つ少女・霜月玲奈との出会いを機に、二人は人助けに奔走する。しかし、その背後には『救った数だけ、別の誰かが犠牲になる』という残酷なノルマが存在していた。「全員を救いたい」晴翔と、「対象を選別する」玲奈は、その思想の違いから二人は決別し、それぞれ救済グループを組織して現場で激しく衝突を繰り返していく。
無秩序な救済を続けた晴翔だったが、やがて未達となったノルマが《大規模レジデュア処理》として一括実行され、大量の死者を出してしまう。この事態を打破すべく晴翔グループが行ったのは、大規模処理の発生時にのみ露出する『コアシステム』へと侵入することだった。しかしそこで突きつけられたのは、このノルマ制の消失と引き換えに、この世界の終焉が確定したという事実。
絶望する晴翔の前に、大規模処理の対象を一身に引き受けた玲奈が立ちはだかる。「私を救って見せてよ」と挑発する彼女には、かつて処理対象となった妹を守るために他者を犠牲にし続け、最後にはその罪悪感から妹が自死したという壮絶な過去があった。玲奈は、自分と同じ道を進む晴翔の心を折ることで、過去の救済の無意味さを証明しようとしたのだ。
しかし、どれほど絶望に打ちのめされても救いの手を伸ばし続ける晴翔の姿に、玲奈の心は激しく揺れ動く。ついには屋上から身を投げる自分を、迷わず救おうとする彼の無垢な正義。そこに、かつて信じられなかった救済の可能性と、過去の孤独な罪を分かち合える者の存在を見出した玲奈は、再び前を向く決意をする。
かつて対立していた二つのグループは、ノルマの消失を前に一つになった。世界が終わる以上、今救われる命も、死を先延ばしにするに過ぎない。すべては無駄だと知りながら、それでも彼らは、終わりゆく世界で救済を続けることを決意する。