あらすじ

村で暮らす少年カナメ・トオルは、奇妙な違和感を抱えていた。昨日まで言葉を交わしていたはずの人々が、今日になると彼の名も顔も思い出せなくなる。やがて家族にさえ存在を忘れられ、彼は世界から静かに消えかける。その極限で発現したのは、「忘れられたものの記憶を回収する」力だった。誰にも覚えられていないはずの英雄の剣技、歴史から抹消された魔女の魔法、消えた王の戦術――回収した記憶は力となり、カナメを生かす。 一方で、世界には“不要な記憶”を消す管理者がいる。任務に従い忘却を執行する少女フィリアは、なぜかカナメだけを忘れられない。規則に従えば彼は消すべき対象。だが彼女の記憶は、彼の名を手放さない。相反する役目と感情のはざまで、二人は対立し、やがて共闘へと傾いていく。 やがてカナメは知る。この世界は人々の集合記憶で形作られ、都合の悪い歴史は“忘却”によって改変されてきたことを。背後で世界を管理する存在は、安定の名のもとに過去を削除してきた。だが、消されたはずの記憶を保持するカナメは、その理から外れた“誤差”だった。 忘却に抗い、失われた真実を取り戻す旅の果てで、カナメは選択を迫られる。世界を守るために自分が消えるか、自分を守るために世界を壊すか。忘れられた少年だけが、世界の真実を覚えている。

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カクヨム
カクヨム2026/04/10
  • 現在の作品世界に忘れられた僕は、世界の記憶を喰らって神になる