あらすじ
男子高校生の桜木世那(さくらぎ せな)は同級生の美少女・小鳥遊杏(たかなし あん)に好意を寄せられ、幸せな学校生活を送っていた。
がしかし突如、謎の少女・安在理存(あんざい りある)が割り込み、セナに告げる。「ここは妄想の世界。貴様の正体は、沢野智康(さわの ともやす)……無職の三十歳だ」と。
抵抗するセナだったが、やがて現実を認め、「何のための妄想なのか」を問答するうち、ライトノベル作家に憧れていたことを思い出し、挑戦することに。執筆はほぼ未経験だったが、アンとリアルに後押しされ書く中で、楽しさに目覚め、新人賞に向けて執筆を続ける。
その最中、アンの存在の完成度に違和感を覚えたリアルが、「アンにはモデルがいるんじゃないか?」と尋ね、セナは、何年も妄想し続けた“小鳥遊杏”というキャラが、“安藤さん”との思い出から作られていると話す。中学時代、ライトノベルを破られるいじめに遭遇し、学校で浮いていた自分に、優しく接してくれたのだと。
すると小説のロケハンで動物園に出かけた日、クラスメイトだった安藤風香(あんどう ふうか)と遭遇し、立派な母になった姿にショックを受け帰宅。続けざまに、かつて自分の本を破いた男子がテレビでインタビューを受けているのを見て、自分と世間との乖離に激しく傷付く。
しかしその後、ひょんなことから再会した安藤から、離婚したこと、実は彼女もオタクだったこと、元旦那と上手くいかなかったことを打ち明けられ、「自分は世界に、強い思い込みを抱いているのではないか」と考えるように。
新人賞応募〆切前日の晩、安藤から「元夫が家の前で暴れている」と連絡を受け、彼女の住むマンションへ。暴れる男と接触した際に転倒、気絶し、目覚めた場所は妄想の世界だった。「永遠に一緒にいよう」と提案するアン、情けない大人になったことを責める過去の自分との相対を経て、現実の世界を生きることを選ぶ。
〆切当日、病院のベッドで目覚めた智康は、慌てて病室を飛び出し、生まれて初めて書いた長編小説を応募するのだった。