あらすじ

公爵令嬢リーゼロッテには秘密がある。 九歳で目覚めた《未来視》——未来を視る力。そしてその力で、婚約者であるアレクシス第一王子の死亡フラグを、八年間折り続けてきたこと。 毒を代わりに飲んだ。暗殺者を密かに排除した。崩落する建物から遠ざけた。 代償は大きかった。髪は白く変わり、頭痛は日に日に増し、命が削られていく。 それでも構わなかった。好きだったから。 九歳の顔合わせの日、「髪、きれいだな」と笑ってくれた王子のことが、ずっと好きだったから。 けれど王子は気づかない。八年間、一度もリーゼを見なかった。 知っているのは「婚約者は地味で退屈な女だ」ということだけ。 そしてある日、王子は大広間で高らかに宣言した。 「リーゼロッテ。私は、真実の愛を見つけた」 ——知っていた。三日前に、未来視で。 リーゼは微笑んで受け入れた。 「殿下のお幸せを、心よりお祈り申し上げます」 八年間の片想い。八年間の自己犠牲。全部、終わり。 もう視ない。もう守らない。もう、あの人の未来は追いかけない。 ヴェルナー領に帰って、自分の人生を生きる。 ——そのはずだった。 馬車の中で目を閉じた瞬間、最後の未来視が走る。 暗い部屋。金色の髪が血に濡れて倒れている。 王子の死。三日後。 「知りませんわ」 リーゼは呟いた。もう関係ない。もう婚約者ではない。 でも——視えてしまった。 これは、「もう関わらない」と決めた元婚約者が、それでも視えてしまう死亡フラグに抗い、やがて自分自身の運命と向き合う物語。

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小説を読もう2026/04/10
  • 現在の作品婚約破棄されたので、婚約者だった王子の死亡フラグを折る仕事を辞めます