あらすじ

浅井凱斗は、ごく平凡な高校生である。 ——ただしそれは、現実世界での話だ。 戦術シミュレーションゲームの世界において、彼は誰もが認める一流のプレイヤーだった。 そんな凱斗のもとに、ある日、妹が一枚のゲームソフトを持ち込んできた。 『白薔薇の血』 タイトルからして甘ったるい、いわゆる“乙女ゲー”と呼ばれるジャンルの戦術ゲームだった。 正直、凱斗はこれっぽっちも興味が湧かなかった。 適当な言葉で妹を追い返そうと、視線をパッケージへ落とした—— その瞬間である。 腰まで伸びた純白の髪。 アメジストのように冷たく澄んだ紫色の瞳を持つ、絶世の美少女。 ——恋に落ちるのに、コンマ一秒も必要なかった。 その少女こそが、本作の物語を動かすキーパーソン。 クレイン王国が誇る、悲劇の悪役令嬢—— ヒリア・フォン・クレイン王女その人であった。 気が付けば、凱斗は一睡もせずにコントローラーを握り続け、そのままゲームをクリアしていた。 エンディングを見届けた瞬間、えも言われぬ虚無感が胸をよぎる。 「……ヒリアを、救うルートがあればよかったのに。」 その呟きが、運命の歯車を回した。 翌朝、目を覚ました凱斗は、自分がゲームの世界にいることに気づく。 しかも、憑依した相手は—— 人気の攻略対象でもなければ、主人公でもない。 クレイン王女専属の近衛騎士。 ——カレン・ホーエンハイム。 ゲームにおけるカレンは、忠誠心だけが取り柄の忠犬。 その忠義ゆえに非業の死を遂げる、悲運の漢だ。 そして、最悪なことに、目覚めたこの日こそが、運命の分岐点だった。 今日、この国で催される盛大な舞踏会にて—— ヒリア・フォン・クレインは、衆人環視の中、婚約者から一方的に婚約破棄を宣告されるのである。

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小説を読もう2026/04/10
  • 現在の作品悪役王女の狂犬騎士